7.DNAをもてあそび、自ら破滅へと突き進む人類。 

先日、ほうれん草の遺伝子の一部を豚に移植し、豚の脂肪を食用として好ましい物に変えることに成功したとの新聞記事を読みました。 遂に、動物と植物の融合です。 そのうち光合成が出来て日なたにいるだけで物を食べなくてよくなるる豚とか出来るのではないでしょうか。

しかし、いったい人類は生命の根元であるDNAについてどれほどのことを知っているのでしょうか? 現存する生物の持つDNAは、何億年もかけてふるいにかけられて、何億年もの間一度も死ななかった、一度も連鎖の切れなかった、最高にファインチューニングされた超エリートたちなのです。 その中で、安全性や地球上の調和が確認され、それを保つようにたくさんの自己制御機能を内蔵している極めてデリケートなものです。 その中には、個体発生の過程で、原初の発生形態からほ乳類までを歴史を演じさせる機能や、「本能」と呼ばれる記憶情報まで含まれています。
ゲノム解明計画と称してDNAのなぞを解き明かす研究が進んでいますが、これはDNAの持つ情報を人間の言葉に翻訳する作業ですが、そもそもそのほとんどが人間の持つ言葉に翻訳できるものではないと考えるべきで、「線虫の遺伝子情報はすべて解明済み」などと臆面もなく言える科学者はあまりにも軽薄でどうかしています。
遺伝子の中には、人間が及びも付かないような事柄がその大半を占め、その一部分のみ調べさせていただいているのだという謙虚な気持ちで、研究に向かわねば、先ほどの「ほうれん草と豚」のような、とんでもなく危険なことを平気でやってしまう結果になってしまいます。

地球上の生物は、すべて(一部の地中や海中深くにいる火山活動の超高温中で生きている生物は別かもしれません)統一されたDNAの目的・規則の中で生きています。

第一の目的は、DNAを保存し続けること。 究極的には、我々はDNAを保存するためのみに生まれ生きているのです。 こう言うと身も蓋もないようですが、これは絶対的な真理です。

第二の目的は、多種多様なDNAを保存し続けるために調和を守ることです。
先ほどの超高温生物を除けば、地球上すべての生き物は、太陽光線のみをエネルギー源に生きています。 そのために、壮大な植物系・動物系の食物連鎖を作り上げたわけで、この根本的な枠組みはDNA進化の過程で、どうしても崩すことの出来ない前提となってしまいました。 私は、現在のDNAの持つ最大の弱さと、唯一の欠点は、この植物・動物の連鎖体系を作ってしまったことだと考えています。 このような調和を保つためにありとあらゆる仕組み(トラップ)をDNAはそれ自身に内蔵しており、この調和を乱そうとする個体は、そのDNAを後に残さないように死滅するような安全装置を備え持っています。 全体を守るために自滅するプログラムです。
DNAを残すことに寄与しない同性愛にはエイズを、種を滅ぼす危険のある「共食い」には狂牛病(プリオン)を、過度に他のDNAを消費する過食には各種「成人病」を、少し前では、増えすぎた個体を正常値に戻すための、コレラ・赤痢・天然痘・結核というプログラムがありました。 今まで人類は、これらのDNAの警告する調和プログラムを無効にすることにかなり成功してしまったため、個体数は60億にも達し、何十億年にもわたるDNAの歴史の中でも、地球環境破壊による最大のDNA死滅の危機に直面しようとしています。

この先、DNAと人類に残された選択肢は、3つしか有りません。

1つ目は、最も可能性の高い、地球環境破壊による大部分の高等生物の死滅。 残された生物によりDNAは、進化の再出発をするというパターン。
これは、有る意味でDNAの進化プログラムの敗北です。 神(DNA)が創造物(人間)の暴走を止められなかったという、当初の予定外の結末です。

2番目は、DNAのもつ強力な「調和プログラム発動」により、人類のみ死滅。 他の生物は大発展を謳歌するというパターンで、地球にとっては最高の選択肢です。
なぜなら、「今の」人類以上に、地球や他生物に対する破壊を行う者、無知で乱暴で倫理観のない者は、かつて無かったからです。 他の生物に対して、人類ほど過酷な虐殺や食用屠殺を繰り返している生物が、過去居たでしょうか? 他の生物に対しては、生存権を始め、一切の権利を認めていません。

問題となるのは、このDNAの調和プログラムは何かと言うことですが、いま人類を死滅させるほどのパワーのある脅威としては、①天然痘テロ ②プリオン系の脳破壊物質 ③核戦争などがありますが、最も可能性の高いのが、先ほどから話題の「ほうれん草豚」です。
かつて、鉛の鍋でワインを暖めて飲む部族が、鉛の毒性のために不妊症になり全滅した例がありますし、現代でもアルミがアルツハイマーの原因かなどと言われていますが、それほど人間は自分たちにとって何が脅威なのかを見極められないほど頭の悪い生き物なのです。
遺伝子を変えて、リノール酸になった豚を人類が食べ、その他遺伝子組み替えで出来た食べ物を食べて、不妊症にならなかった、どこか疾患にかからなかったという結論は、数世代後にしか分からないでしょう。
今、浅はかな科学者たちの商業主義遺伝子操作で作られた「食物」を食べ、不妊になったら、何と都合のいいことに、10年後には不妊のため出生が止まり、百年後には人類は死滅するではないですか。 タイミング的には、ぎりぎりで地球が救える絶妙さです。 そう考えると、この第2の選択肢が発動するとなるとそろそろと言うことになりますね。
若年男性の精液中の精子数が極端に少なくなりつつある、若い男性の女性化が進行中、若い女性の不妊が増加中、等々、もう兆候が現れてきているのではないでしょうか? 不妊と言うことは、人類絶滅への最も確実な道であると言うことを、もっとしっかり認識せねばなりません。

3番目の選択肢は、人類が自主的に自分たちのすべてを統一して変え、自然と人類が共存できるようなあり方を実践していくと言うことです。
人類の数を瀕死の地球と調和できる数まで減少させ、エネルギーの消費を極限まで減らし、毒性物質の生産投棄を止め、人類が高い知性の元、共通の認識・目的で静かに暮らしていかなければなりません。
しかし、これは21世紀になっても戦争という殺しあいを止める方法すら持たない極めて知性の低い人類が、残された時間のない中、統一して行動に移せるなどということは、世界に極めて知性と見識があり支配力も強い独裁者でも現れない限り手遅れだと思います。
今、科学者・政治家が本気で取り組まねばならないことは、クローン技術で長生きするための臓器移植などを考え闇雲に人口を増やすのではなく、60億の人口をどうやって30億まで短期間にすみやかに減らしていくかと言うこと。 具体的には、中国が漢民族に対して行っている、「一人っ子政策」を、速やかに全世界に強制することが第一歩でしょう。 また、いかに、エネルギーの消費を押さえて一人一人が豊かに自然と調和して生きていけるかを考えることに尽きると思います。 この事について、人類はあまりにものんびりしすぎています。 NGOが政府に取って代わって枠組みを作っていく必要があるかもしれません。

繰り返しになりますが、今の人類の遺伝子操作による危険の創出が、DNAの仕組んだトラップ(罠)かどうかは分かりませんが、「生命」と言うことの定義すら出来ていない人類には、DNAを触る知識も資格も無いという事を肝に銘ずべきです。 また、そうやって出来た食べ物は決して口にするべきではありません。

若干話は道をそれますが、「クローン」技術については、それほど大騒ぎをする必要はありません。 「自分のコピーを作る」などとの大それた話ではなく、『記憶もリセットされた年の違う双子』が生まれるだけです。 ただ、クローンで使用される遺伝子は、「新品」ではなく「中古品」です。 中古の遺伝子で作られた個体が、どれだけハンディーを背負っているかはまだこの先長く見ていかないと、分かりませんし、中古の遺伝子によって新たに受精・誕生する遺伝子がどれだけ傷を負っているかも分かりませんので、クローンで誕生させられた個体はいい迷惑(遺伝子に寿命が有れば、クローンの家系の人は長生きできません!成人病も増えるかも。)かもしまれせんし、その先の遺伝にも不安が残ります。

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今、家の中でさつまいもを育てているのですが、日の当たる方向にグングン葉を伸ばしていきます。 葉を日光の方に伸ばすためには、茎の根元の方が曲がっていかなければなりません。 脳を持たないイモが、どうして全体の調和を保ちながら(葉っぱは重なりません)、日光に葉を向かわせるために茎を曲げていけるように作られているか、「DNAの中にどういう記載があって、そのためにこれだけの機能を持たせてあるのだ」と、説明が出来るようになったとき、初めて人類は遺伝子を扱えるようになるのではないでしょうか?

DNAを操作することは、原子爆弾を作ること以上に、危険なことなのだということを、はっきり認識しなければなりません。 操作による危機は、次世代以降に、まとまって現れてくるのです。