13.おかしくないか? 車選び!

自動車というものは、誰にとっても大切な買い物で、いろいろな条件や制約の中で、今ベストと思えるものを購入する事になります。
「どんな基準で選ぼうが、自分の買い物なのでとやかく言ってほしくない。」 「人それぞれ価値観が違うのだから、いいんぢゃないの?」、という声は、当然批判としてあるでしょうが、それでも敢えて、車選びの基準について、私の独断と偏見を一言申し述べたいと思います。

1.燃費が年々低下している事について
化石燃料が数十年で枯渇し、地球温暖化の防止が我々人類の最重要課題の一つとなっている現在に於いて、自動車メーカーは、あらゆる最新技術を駆使して、燃費の向上に努めている。

しかし、日本全体として、毎年車の燃費が低下しているのをご存知でしょうか?

その主因は、大型のワンボックスカーの購入比率が上昇しているからです。 いくら、個々の自動車の燃費を向上させても、燃費の極端に悪い大形ワンボックスカーを購入するのでは、焼け石に水状態になります。

私には、大形ワンボックスカーを購入する人の中に、どうしても必要で購入する人もいるでしょうが、大多数は、何となく「広くて大きい車が欲しい」という理由で購入しているのではないかと思っています。

家族が5人以上居て、5人乗りセダンでは移動できない。 趣味や商売で広い荷室を必要としている。 等のまっとうな理由のある方は、買われて当然だと思います。 しかし、たま~に、親や友人を乗せて、6人以上の座席が必要とか、年に一回のキャンプの時だけは広い荷室が必要、という人は、年のうちほとんどの日を、無駄に広い空間と極端に重い車体を、大量のガソリンを消費して「無駄に」金を使い、環境を悪化させて、しかも、購入時に莫大な費用をかけて、長年ローンに苦しんでいるということになります。
一家に二台以上車のある家も多いでしょうから、大型ワンボックスカーが無ければ、移動できないというシチュエーションも非常に限られていると思います。

年に数回どうしても必要な時は、その日だけレンタカーを使えば、目的は完全に達成できることになります。 レンタカーだと一日1.5万円位でしょうが、大形ワンボックスカーは、購入価格が通常の車より100万円ほど高いのではないでしょうか? ガソリン代に加えて、自動車税・重量税も高く、立体駐車場も使えないところがあり、カーボートも大型が必要、洗車・ワックスがけも大変と、維持費の面でも、大変なハンディーを背負っています。 それだけの負担をするだけの利用をしているのでしょうか?

それでは、機能面の比較はどうでしょうか?

2.ドライヴィングの楽しみの重要性について
自動車を購入する動機としては、純粋な「運ぶ」という実質面の要求と、「ドライヴィングを楽しむ」という趣味の面の要求の2つが主なものであると言えます。

どれだけ大量の人・物を運べるかという機能面については、前述の通りですので、その他の自動車に要求される機能を見ていきます。 車に要求される機能は、走って・曲がって・止まるという基本性能と、乗り心地、および安全性と、趣味の面としてのデザイン(かっこよさ)が挙げられると思います。 これらを総称して、「ドライヴィングの楽しみ」とした場合、大形ワンボックスカーを購入するということは、この「ドライヴィングの楽しみ」を放棄する事に等しいのではないかと、私には思えます。

「走る」に当たる部分が、ドライヴの大きなウェイトを占めますが、俊敏な加速のための基本指標である、「エンジン1馬力あたりの重量」パワーウエイトレシオは、ワンボックスカーは圧倒的に不利。 言い換えれば「加速性能が悪い」ということになり、快適なドライヴ、安全な追い越し等は望めません。 また、曲がる性能も、重心が高く、重量が重く、タイヤが比較的小さいことから、勝負にならないくらい曲がる性能は低く、同じ速度で走れば安全性に劣るということになり、峠道をひらひらと曲がりながら走り抜けるなどというドライヴィング自体の醍醐味は、危なすぎて鼻から諦めねばなりません。 同様に、止まる性能も、重量とタイヤが大きく作用するため、劣るということになります。 また、高速道路走行に関しても、巨大な空気抵抗による燃費・加速性能のさらなる悪化と、横風の影響をもろに受ける構造から、非常に劣ることになります。
では、乗り心地はどうでしょうか? 「高い視野」というのは、大形ワンボックスカーの持つ、唯一のメリットだと思いますが、乗り心地や騒音に関しても、構造と重量の関係から通常のセダンより相当劣ることは、間違いありません。 デザインに関しては言わずもがなで、勝負になりません。

運転席が、前輪の上あたりにあり、運転姿勢も乗用車とは全く違うスタイルを強いられ、私のように「ドライヴィングの楽しみ」をもっとも重視する立場からは、それを放棄してまで、必要以上の広さを求めてこれらの自動車を購入する人の気持ちを理解できません。

我が家には、私の車が5人乗り、家内の車も5人乗りで、合計10座席あります。 3人家族の我が家にはこんなに多くの座席は必要ありません。 私の車を、2座席のオープンカーにして「ドライヴィングの楽しみ」をさらに増して、合計7座席あれば十分だと考えています。

みなさんも、是非「ライトサイジング=適正な大きさ」の車選びを心がけて、快適・安全で経済的、しかも環境に負荷の少ない自動車ライフを楽しみませんか?
運転手付きの車ならともかく、自分で運転するならば、出来るだけ小さく・軽く、しかもパワーのある高級車に乗る事こそ、ステータスだと思うのだけどなぁ。

3.白い車を買うということ
話は全く変わりますが、最近だいぶ少なくなってきたとはいえ、日本は世界的にも一番「白い乗用車」の多い国ではないかと思います。

白い車を購入する動機の一つとして、「中古車転売時の価格が高い」事がある、というのを聞いたこともあります。 しかし、そんなみみっちい理由で、本当にみなさん白い車をわざわざ購入しているのでしょうか? 自分が所有して、毎日乗る車に思い入れの色すら無いのでしょうか?

しかし、世界的に見て、特にヨーロッパでは、「白い車」は、「塗装前の未完成車」ということで、色の塗っていない車という認識があるそうです。 当然特殊な車なので、白い車の台数は極端に少ないと聞いています。
私も、白い乗用車を見るたびに、「商用車っぽくて安っぽい」「おしゃれじゃない」「主張がない」「塗装前?」と違和感を感じてしまいます。 特に、ベンツやBMW等の高級車の「白」を見ると、おいおいいったい何考えてるの?と、思わずつっこみたくなってしまいます。

是非とも、自分の愛車には、自分が美しいと思う、またはこの車に似合うと思う色を、選んであげようではありませんか。