15.福岡の飲酒追突転落事故で思うこと

福岡で起きた、公務員の飲酒による追突・橋から海への転落による死亡事故は、大変痛ましい出来事でした。この事故をきっかけに、飲酒運転の撲滅と、飲酒運転者への社会的制裁の強化という大きな流れ、また、事故の当事者には、最大級の法律を適用した厳罰の執行が行われようとしています。

しかし、この痛ましい事故を考えるとき、マスコミが集中的に取り上げるような、「公務員」「飲酒」「厳罰」という切り口で、一人の加害者を見せしめとして魔女裁判にかけるような風潮には共感できません。

この事故で、幼い命が奪われた最大の原因は、「橋に欄干が無かった」という事実です。もし、この橋に、我々が常識的に考える程度の、普通のガードレール程度の欄干があったなら、車が炎上でもしない限り、ごく普通の「追突事故」で、命に別状のあるようなものでは全くなかったはずです。

橋の設計としては、全く合法的なものであったというたった一言で片づけられてしまった、この事実こそ、大いに議論すべきポイントではないでしょうか。 普段我々が使っている、川に海に架かる橋が、人と自転車しかガードできず、自動車がぶつかれば、そのまま谷底へ転落する「仕様」だとしたら、車から見ると、全く橋の両側に欄干のない、谷底丸見えの橋を渡るに等しいことになります。 対向車がちょっと中央線を越えてきて接触すれば、たちまち谷底へ、川へ転落するような橋を、普通に走れる勇気がありますか?

我々が、常識として期待している欄干の強度が全く足りていないと言うことについて、全国すべての橋について情報公開を行い、人・自転車用の欄干が付いている橋については、橋の手前に大きく明示をして運転者に注意を促し、最大限の財源を使って、早急に普通のガードレール程度の強度を持たせる欄干(ワイヤー?)に改造し、橋を造るときの法律の仕様を、常識程度に変更すべきではないかと考えます。

酒を飲んでしまえば、その時点で判断力が無くなるわけですから、これを厳罰によって、懲戒免職によって撲滅することは、不可能です。 今回のような大きく報道された事故以外にも、全国で橋の欄干を突き破って転落死している事故は、相当あるのではないでしょうか? 飲酒運転を撲滅させる運動と同じくらいの力を使って、全国の橋を安全なものに変えていく運動も、是非実施しなければならない行政の大切な仕事であろうと思います。